ジェリクルクロネコ

二次創作や日記などを徒然なるままに載せるブログ。初めての方はガイドラインを、各話目録はテキストインデックスを。

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拝啓 白銀武様(Muv-Luv)


注) 過去のサルベージ改定品です。


 01

「……俺はベイルアウトしていたのか?」
 廃墟の中で目を覚ました白銀武は何も無い空を見上げながらそう呟いていた。
 目覚めたばかりで思考か覚束無い頭を抑え、体を起こす。
 視界に入る赤い零式衛士強化装備姿の半身、見慣れた自分の衛士強化装備のはずなのに何処か違和感を感じる。
「俺は……」
 武は頭を振って曖昧な記憶の糸を辿る。
 何時ものように見渡す限りのBETA相手に単独陽動を行い、揮下の各中隊を副官であるまりもに託して各個に掃討していたはずだ。
 度重なるBETAの襲撃で日本帝国軍と、それに寄り添う今となっては有名無実の国連軍共に消耗していた。いや、消耗という言葉は生温い、ハイブ内で起爆させるのが前提のS-11を平地で起爆させるほどに末期だった。
 完全に人類とBETAの天秤が崩れたのは大陸反抗作戦が失敗した時か、それともアメリカ本土にBETAの侵攻を許した時だったのか。
 いや、第四計画が破棄された時、もう既に人類に未来は無かったのかも知れない。
 未来に希望が無い、それでも武はこの日本の地で戦っていた。
「……全て今更、か」
 武はどうしようもなかった過去を思い出して顔を顰めた。
 日本にBETAが再侵攻し、国連軍横浜基地が落ちた時、征夷大将軍である煌武院悠陽から民草に日本から脱出するようにと勧めがあった。
 他星系への移住を五摂家以下の縁者達が断わった事と同じように、この日本に住む民は死ぬならこの地でと玉砕を選び、殆どの民が日本という地から出る事はなかった。
 そしてその意を受けて日の本の地に一つの決死の防衛線が敷かれた。
 敗残兵が帝国軍に合流し、戦力を増し、抵抗を続ける最中、世界情勢に決定的な変化が起こる。欧州最後の砦でである英国が落ちたとの知らせが入った。
 次のBETAの侵攻目標は米国であろうというのは誰の目にも明らかで、事実、時を置かずアメリカ大陸に侵入したBETAはハイブを建設、そこからはもう泥沼だった。
 世界が飲み込まれようとしている時、日本も決して例外では居られなかった。
 そう、この頃からだ、非常套手段であるはずのS-11を、死期を悟った者は躊躇無く、効率的に自爆していく事が常套手段になって行ったのは。
 そこに有った想いは自分の死で戦友が、帝都の民が、そして精神的支柱でもある殿下を一分一秒でも長く生き残ると信じて。
 だが、滅びかけた世界の中で有数の士気が有っても、幾多の人々の血を持ってしても予定調和の如く終わりは来る。
 前回の襲撃で帝都への侵入を許し、被害は甚大だったものの掃討できた。
 だがしかし、今回の侵攻は前回の比ではなかった。
 BETAの本流を帝都へぶつけさせない為、幾多もの部隊が陽動を行い、将軍、斯衛軍を中心にBETAを掃討して行く。
 武は戦闘の中、BETAを道連れに逝くS-11爆破の振動を何度も感じていた。
 そのような最中、機体が煽られるほどの近場でのS-11の爆風を受けた。
「……それからだよな、まりもちゃんと通信が出来なくなったのは。それでも俺は一匹でも多くのBETAを狩り続けて、一つの通信が入った、んだ、よな?」

 ――白銀、帝都を頼みますね。

「ッ!」
 何かを思い出しかけた時、一際大きな爆発を幻視し、頭に強烈な痛みが走って溜まらずその場に蹲ってしまう。
 幾分の時が過ぎたのだろうか、頭痛が通り去った頃、武は何時の間にか止め処ない涙を流していた。 
「あ、あれ、どうしたんだ俺……」
 とてつもない喪失感、胸に穴が開いたような、しばらく感じていなかったその想い。
 武はこんな所で蹲っている訳いかないと思い直し、重い体を引きずる様に立ち上がった。
「……帝都に、戻らないとな」
 武はどこか見たことがあるような廃墟の中、当ても無く歩き始めた。
 どれだけ歩いたか、荒れ果てた道へと出た時、不意に武の視界に人影が映る。
「ほう、このような場所で斯衛に出会うとは。どうかしたのかね?」
「……俺は斯衛じゃない、有名無実となったけど一応は国連軍だ」
 武が身構えたまま顔を上げた先にはスーツ姿で帽子を被った不審な男。
 武は一瞬民間人かと思ったが、自信の何かがその考えを拒否する。
「斯衛ではないと? 零式衛士強化装備、それも赤、斯衛で無いとしたらなんなのかね?」
「これは殿下から特別に下賜された物……。殿下、そう殿下はっ!? 帝都は無事なのか!?」
 急激な武の心情の変化、それと口にした内容に男は怪訝な表情をするが、熱くなっている武とは対照的に冷静に思考を巡らせ、静かに口を開いた。
「ふむ、殿下も帝都も無事だよ」
「……そうか、今回も守れ切れたんだな。ホントよかった」
 心の底から安堵する武の様子に、男はふむと頷いた。
「私は帝国情報省外務二課の鎧衣だ。自己紹介してくれないかね、中佐殿?」
 情報省、鎧衣という言葉に武は一瞬反応しかけるが、一瞬頭痛が走ってその何かは霞の向こうへと消えた。
 武は覚束無い思考に苛立ちを感じながらも、ニ、三度頭を振って心を落ち着かせるとゆっくりと口を開く。
「俺は国連軍帝都守備第一大隊の指揮官、白銀武、階級は見てのとおり中佐」
「国連軍の、帝都守備大隊、かね」
 強調するように言葉を発する鎧衣に武は何も疑問を挟まず頷く。
 そんな様子の武に鎧衣はふむと頷き、何かを考え始める。
「どうかしたんですか、鎧衣課長?」
「……ほう白銀中佐、よく私が課長であるとわかったね」
「あ、れ? どうして俺は……」
 思わずといった様に自身の口から出た言葉に武は顔を顰める。
 目が覚めてから続く記憶に霞がかった様な状態に武は戸惑いを覚える。
 そんな武を他所に、鎧衣はただ黙って武を観察していた。
「まぁ、いいではないか白銀中佐。これから私は近くの基地に用事があるのだが、中佐も一緒にどうかね?」
「あ、はい、付いていきますよ」
「ははは、そうでなくては」
 どこか韜晦な様子を見せる鎧衣に、武は小首を傾げる。
「それでは行こうじゃないか」
「ええ」
 鎧衣の言葉に頷いた武は鎧衣に先導されながら廃墟の町を進む。
 道すがら雑談、武にとって当たり前である事を鎧衣に話しながら。


 武は鎧衣に導かれながら長い坂をゆっくりと上がって行った先、目の前に広がった一つの基地。
「ここは……」
 見覚えがある様な無い様なその様な場所。
 自分がベイルアウトした先にこのような基地が有っただろうかと別の方面から思考を巡らすが、答えは出なかった。
 呆然とと形容出来る様な武を他所に、鎧衣は門兵である黄色人種と黒人の二人に声を掛け何かの書類を見せ、何かのやり取りを交わしていた。
「中佐殿、それでは行こうではないか」
「あ、はい」
 二人の門兵の敬礼に返礼し、武は門を潜る。
 潜った先に覚えるのはやはり既視感。
「君にこれを渡しておこう」
「これは?」
「まあ、この基地のゲストIDとでも思ってくれたまえ、白銀中佐」
「は、はぁ」
 曖昧に頷く武に鎧衣は不敵な笑みを浮かべ歩き始める、そして武はどこか懐かしさ感じながらも鎧衣に付いて地下へ地下へと向かっていった。
 辿り付いたのは一つの部屋。
 それなりの地位にある人間の執務室だと思われるが、床には紙が散らばり乱雑としていた。
 武は目を覚ましてから一番強い既視感を感じ、軽く眩暈を覚える。
「ここに……来たことがある、のか?」
 戸惑いを覚える武を興味深く観察する鎧衣だったが、奥に人の気配を感じそちらへと視線を向ける、飄々とした表情を張り付かせながら。
「……帝国情報省ってのは礼儀がないってないわね。入室の許可どころか面会の予約をもらった覚えもないけど? それに、何、強化装備の斯衛までつれてきて、私でも殺す気? でもまぁかなり強引に連れて来たようだけど」
「なかなか面白いものを拾ったので思わず自慢したくなったのですよ」
「あの鎧衣課長、こちらの方は?」
「おっと、思わず君の事を忘れていたよ。こちらはここの基地の副指令、香月夕呼博士だよ」
 武はその名前を聞いた時一瞬頭痛が走ったが、背筋を伸ばし夕呼に大して敬礼をする。
「国連軍帝都守備第一大隊白銀武中佐です」
「は? 国連軍の、帝都守備隊? そんな部隊うちには無いわよ」
「え?」
 頭おかしいんじゃない、とでも言ったようなどこか呆れたような物言いに、武はただ呆然とするしかなかった。
 夕呼が鎧衣に目の前の衛士の事を問い詰めようとした時、扉が開いて一人の少女が入ってきた。
 反射的に振り返った武は、現在の状況という認識が抜け落ちたかの様に満面の笑みを浮かべてその少女へと近づいていった。
「よう霞、久しぶりだな。ニンジン食べれるようになったか?」
 武は目の前の少女、霞に軽い感じで声をかけて頭を撫でる。
 撫でられた霞は一瞬びくッと震え、不思議そうな顔で武を見上げた。
 目の前で繰り広げられる光景に夕呼は眉を顰め、武の行動を止めようとしたが、鎧衣によってそっと止められる。
 鎧衣の視線には成り行きを見守れと言っている様で夕呼は渋々と引き下がり、不機嫌さを顕にしながら腕を組んで静観の様相を見せた。
「あ、あの……」
「か、すみ? ……あれ?」
 困惑というよりも戸惑いの色が強い霞の言葉。
 その言葉に反応した訳ではなかったが、武はここに来て強い違和感を覚え始める。
 目の前の霞、記憶の中の霞。
 霞とは「またね」と言葉を交わして分かれたはずだ、それは何時でどの様な状況だった?
「……そう、霞は最後の移民船へ向かうシャトルに乗ったんじゃなかったか? 地下19階の脳ミソの部屋にいた霞をつれて、撃震で向かった、はず……」
 記憶を確かめるように一つ一つ口に出しながらも、今一自信が持てない武は自己の内へと埋没していく。
 一方、目を細めた鋭い視線で武の様子を観察していた夕呼は「移民船」「脳ミソの部屋」と言う言葉に反応して眉を跳ね上げる。
 武は自分の思考に答えが出せないまま霞の頭から手を離し、まるで夢遊病者のように視線を彷徨わせると夕呼へと視線を合わせた。
「夕呼、先生……?」
「私は、あんたの先生じゃないわよ」
 夕呼の軽口には力が無かった。
 夕呼はここに至って、鎧衣が危険な橋を渡ってでもこの場にこの男を連れて来た理由が分かり始めていた。
「え? 夕呼先生はオルタネイティブ4が失敗して、5の発動と共に失踪したはずなのに……」
「……白銀とか言ったわね、それはどういう事よ!?」
 オルタネイティブ4、そして5、それは夕呼にとっては決して静観できない言葉。
 しかも自身が推進している4が失敗、あまつさえ5が発動すると。
 夕呼は激しい剣幕で掴みかかるように白銀へと近づいて行ったが、武は怒鳴られた事にも気づかずにただただ独白を続けた。
「……ここは横浜基地? え、BETAに攻められて地下の反応炉ごと自爆したはずなのに? あ、ああ、あぁぁぁぁッ!!」
 霞んだ記憶の向こうへ手を伸ばそうとした時、今までに感じたことの無いような激痛が頭に走り、気を失う直前、白銀武は「戻ってきたのか」と漏らし、そして倒れた。





02

 武が気を失ってから、夕呼は焦れる気持ちを抑えながらも素早く武を診断する。
 大事が無い事が分かるとすぐさまピアティフを呼び出して武を検査に回し、同時に武が着ていた零式衛士強化装備を解析に回した。
 鎧衣は夕呼に横浜基地に来る道中武が話していた事を聞かせ、武は嘘をついていない、少なくとも自身は真実だと思っていると。
 鎧衣の言葉に同調するように霞も頷く。
 何にせよ情報が少なすぎると夕呼は判断し、今は武の意識が戻るのを待つしかなかった。



「あら、やっとお目覚め?」
 武が目を覚ました時、倒れた時と同じように夕呼の執務室で同じように夕呼と鎧衣課長が何かを話していた。
 ただ違うのは自分が国連軍のつなぎを着ている事と霞がいない事、そしてソファーに横になっていた事だった。
「……夕呼先生?」
「どうでもいいけどあたしは先生じゃないわよ」
 武はソファーからゆっくりと体を起こすと、飄々とした様子の夕呼に安堵するように苦笑いを浮かべる。
「大丈夫かね、白銀武」
「まだ記憶の混濁は多少ありますけど、大丈夫ですよ鎧衣課長」
「じゃ、改めて話を聞かせてもらいましょうか」
「その前に今は何時か教えてもらっていいですか? あと鎧衣課長には……」
「今は2001年10月22日の深夜。それとそこのおっさんとは話はついてるわ」
「はっはっはっ、おっさんとは手厳しいですな、香月博士」
 二人のやり取りに武は苦笑いを浮かべながらも、すぐさま真剣な表情になって口を開く。
「俺は元々BETAのいない世界の日本で、ただの学生だったんです」
「BETAが、いない世界?」
「ある朝目覚めたら、こんな世界だったんですよ。俺は夢かと思って学校に行ったら、そこはこの横浜基地だった」
「…………」
「衛兵に捕まって、尋問されて監禁されて、やっと先生に会えた。その時、先生はなぜか突然現れた俺に興味を示して、セキュリティの高いIDをくれたり、衛士訓練校入れたり……それが全ての始まりだったんですよ」
 訓練兵になって色々な事件があった、そして十二月二十四日のオルタネイティブ4の停止と5の発動。大陸反抗作戦の失敗。米国が落ちた事。
「……つまり、あんたにとってこの世界は二度目って事?」
「そういう事に、なりますね」
 夕呼の問いに武は苦々しく頷いた。そんな武に夕呼は息を吐き、一瞬思考を巡らせる。
「第207衛士訓練小隊の訓練兵だったのよね?」
「はい」
 武の返事に夕呼は曖昧に頷いて、デスクのキーボードを叩く。
 武の強化装備の解析に回したデータの断片が上がってきていた。
 そこから読み取れる事は白銀武がそこいらにいるエース級すら及ばない、化物と言ってもいいほどの衛士という事実。
「さすがにこんな戦績の衛士を遊ばせておくには勿体無いわ。そうね、以前も中佐だったって事で待遇は中佐。とりあえずあたし付きで色々と手伝ってもらう事になるでしょうね」
「……いきなり中佐ですか?」
 中佐という言葉に、武は夕呼先生ならそんな無茶もありえなくも無いがと一瞬思うものの、そうぽんぽん階級なんて上げられるものではないと思い怪訝そうに問い直した。
「あんた、今まで大隊率いてやってたんでしょ。少尉だったのをいきなり中佐に上げるわけじゃないんだから」
「そりゃ、まぁそうですけど……」
 まったく無茶苦茶な、と武が思っている中、夕呼は内線でピアティフ中尉を呼び出した。
「案内させるわ。それと白銀」
「はい?」
 ばさりと武の手の平に白紙の書類が置かれた。
「あんたが体験して来た出来事、一応報告書という形で、書面で頂戴。何か話したいことがあったらついでに書いてもいいわよ」
「は、はぁ」
「じゃあ、ピアティフ連れて行って」
「はっ」
 いまだに怪訝そうな様子の武をピアティフが促しながらも執務室から出て行くと、夕呼は背もたれに体重を任せて重く息を吐いた。
「まったく、とんでもないのを拾ってきてくれたわね」
「そう言ってくれるな、香月博士。私自身も驚いているのだからね」
「まぁいいわ。こっちにもそっちにも無視できない情報が転がり込んできたんだから」
 オルタネイィブ4の最終期日、G弾運用における大陸反抗作戦の失敗、そして明確な滅びの先見。その滅びを逃れるには、なんとしてでもオルタネイティブ4の完遂をしなければならないという事実。いや、完遂したとしてもその先に未来は……。
「はぁ、まったくきりが無いわね。――でも私たちは一枚の手札を拾った」
「それがただのクズ札になるのか鬼札となるのか、楽しみだね」
「ふふふ、まぁいいわ。鎧衣課長、色々と手伝ってもらうことになりそうね」
「私自身としては怠けたいのだがね。この国の未来、世界の未来がかかっているというなら是非もないさ」


 大隊の隊長なんてやってたんでしょ、という夕呼の言葉を受けて、武は与えられた自室で一人報告書に向かっていた。
 元々BETAの居ない世界から来た事を皮切りに、BETAの新潟上陸、事務次官来訪におけるHSST落下、天元山の噴火、十二月二十四日のオルタネイティブ4の停止と5の発動。そして大陸反抗作戦。ハイブ内戦闘。横浜基地が落ちた時のBETAの戦術。武はその時の対応や損害、顛末、佐官をしていた武から見た注釈、自分の知りうる限りの事をまとめ上げ、最後に武は自分の要望を書き連ねて行った。
 第207衛士訓練部隊の総戦技評価演習の前倒し、戦術機課程における教官の役。教導隊に所属して自分の特異な操縦機動を教えていたときに感じた、その技術の有用さと反比例した習得の難しさから、常々考えていた戦術機の操作の簡略化と機動制御のパターン化。
「……こんなもんか」
 やっと終わったとばかりに武は欠伸をしながら体を伸ばして、背もたれに体重を乗せた。
「最初は書類仕事なんて苦手なはずだったのに、な」
 武は自嘲的な笑みを浮かべ、書いたばかりの書類を揃え直すと早速夕呼に見せる為に立ち上がる。
 書類を片手に夕呼の執務室へ向かおうと部屋を出ると、そこには霞が一人佇んでいた。
「霞?」
「迎えに来ました」
「あ、そうか、ありがとな」
 武の言葉に霞はいえと小さく答えて、武のすぐ隣に並び二人して歩き出した。歩きながら武はちらちらと霞の顔を覗き見る。
「……何か?」
「いや、いまだに記憶が整理できてなくてな……。霞なんだなってさ」
 武の良く分からない問いに、霞はきょとんと小首を傾げるしかなかった。
「俺の主観ではもう何年も前になるけど、移民船に乗せる為に、またねって言って分かれた霞がいる。あの約束は果たせなかったけど。今こうして、世界は違えどまた霞と会えた」
「…………」
「今度こそは……」
 決意するように呟いた武を霞はただ見上げていた。霞の視線に気がついた武だったが、何かの答えを聞きたそうにする霞の瞳に、どこか自嘲的な笑みを浮かべて口を開いた。
「霞、ハッピーエンドなんて約束で出来ない。戦場では平等に死が訪れる。赤く染まった絨毯を優雅に歩いて、俺は戦場に居過ぎたんだ。不死身のエースなんて呼ばれても、結局は大切なものも守れなかった敗残兵。でも、でもさ」
――白銀、帝都を頼みますね。
 あれは事実だったのか幻想だったのか今ではもう判別つかない。
「何の因果か、死を迎えたはずなのに俺はまたこうしている。皆に置いてけぼりにされても、まだここに。BETAを殺すしか能が無い俺だけど、俺がまだ役に立つというならいくらでも戦場に立つさ」
「……白銀さん」
 どこか不安そうにする霞を白銀は二度三度と優しく撫でた。
「オルタネイティブ4は必ず完遂させる。それがきっとこうして戻ってきた俺の意味だからさ」

テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/05/21(土) 08:21:18|
  2. 二次未分類
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:7
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コメント

白銀武「俺はようやく登り始めたばかりだからな、この果てしなく長い世界を救う為の坂をよ……」

と、言う訳なので一つよろしく。
  1. 2011/05/21(土) 08:30:32 |
  2. URL |
  3. 管理人一二三 #-
  4. [ 編集]

ビバ、一二三さん!マヴラブ大好きの俺が通りますよwww
武は若干擦り切れてますね。大人びた武は好きなんだけど、そうなると純夏との再開が上手く想像できないんですよね。自分の中だと武が完全にぶっ壊れるか、あっさりし過ぎて純夏が機械のまま終わるか、って(笑
そこら辺の展望も憶えていたら、雑記に書いてくれると嬉しいです。
  1. 2011/05/21(土) 20:54:41 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集]

よし、続きを書く準備に入りたまえ。
っとまあ、冗談……って言いたくはないなw
ですが、武ちゃん無双好きの自分としては、ぜひ続きが読みたくなる始まりです。
何よりテンプレの自宅ベッド起き、外見たら廃墟。
ってのじゃない辺りがとてもポイント高いです。
  1. 2011/06/14(火) 00:57:53 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集]

続きに期待してもいいですか……?
  1. 2011/06/29(水) 03:37:19 |
  2. URL |
  3. クロ #-
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  1. 2011/09/12(月) 20:33:06 |
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  1. 2014/05/17(土) 00:48:26 |
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  1. 2014/09/16(火) 23:46:11 |
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